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NO.541 マーティンD-28

F様よりマーティンD-28の弦高調整のご依頼を頂きました。

SQロッド式(スクエアーロッド)の為にトラスロッドが無いのでネック調整が出来ません。

前回はサドルを限界まで下げて弦高調整をしましたが、更に弦高を下げて欲しいとのことで、ネックアイロンを行ないどこまで弦高を下げれるかやってみました。

調整前、6弦12Fで約3ミリ程になっておりました。

ネックアイロンを施します。ヒーターブロックをネックにセットし温まった状態で30分程ネックをクランプ(ネックが温まっていることを触って確認します~火傷に注意!)

※クランプでネックを掴む際はネック断面を傷つけないようにRのついた木のブロックを使って布巾を当てがってネック裏が傷付かないようにします。

アイロンのヒーターブロックは指板に直接付けるのではなくて指板の両端に5ミリ程の木片を当てがい浮かせてセットしてなるべくネックの根元側をクランプして少し逆ぞりさるような感じにクランプします。

丸一日、クランプしてネックの状態を確認します。

思ったよりアイロンが効いたようでネックが少し逆反り気味になっておりました。

弦を張って弦高を確認すると、調整前から6弦12Fで1ミリ程下がっていて6弦1.5ミリ、1弦1.2ミリになっていて、前回サドルを削っていたのでチューニングしますとビビりがありました。

なのでサドルにシム(0.7ミリ)と更に0.2ミリを敷いてチューニングしますとビビりが無くなり結果、6弦12Fで2.1ミリ、1弦1.8㍉に落ち着きました。

この状態で三日間弦を張りっぱなしの状態でネックの反りが戻らず安定していることを確認しました。

状況をオーナーさんに連絡してサドルにシムをかましているので、新たにサドルの作り替えを提案させて頂きましたが、今回は様子を見てネックが安定してからサドルをつくることにしました。(サドルの高さに余裕が出来て、ネックが戻った時は敷いたシムを抜くことで低い弦高に対処できるようになりました~なにせロッド調整ができないので~この方法もありかと...

ネックアイロンって個体によって利き方が違うのでやってみないと判らない部分があるのですが、今回はSQロッドということで当初、アイロンの効きが悪い(ネックが頑丈なので数日間クランプで放置?!)と思っておりましたが1日でバッチリと効いてくれて理想的な低い弦高に調整出来ました。


取りに来てくれたFさんにÐ-28をお渡しして弾き易い弦高になった事を喜んで頂き、安心致しました。


ネット上ではネックアイロンって意味がない?!~とか言われている方もおられるようですが(依頼されても断るらしいですね~)確かにやる側にしたら上手い事いくかどうかわからない等リスクはありますね~

私の場合は何回もネックアイロンやってますけど(やり方にもよると思いますが…)今まで上手い事いっていると言いますか、それなりの効果があると思っているので、まぁだめな場合は最終的にはネックリセットなんでしょうが、費用もアイロンよりかなり高額になりますので今回のようなロッド調整の出来ないSQロッドの個体の場合はアイロンによる調整はありやと思いますね~

但、ネックアイロン後のその後の経過とかは判らないので例えば1年後の状況をオーナーさんに確認するなどして情報収集やフォローはしていきたいと思っております。




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