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NO.204 REAGAL RADIOTONE

前回告知しましたFさんより戦前(1940年頃)の希少なラップスチールギターのリペアーごご依頼を頂きました。

ギブソンのL-3と同じくこちらのRADIO TONEも戦前の希少なヴィンテージですが通常のギターと違って膝の上に置いてスライドバーで演奏するラップスチールギターでネックは角材みたいに真四角で需要も少ないので割とお安いみたいですが見た目は良い感じで致命的な状態ではなくてご依頼的には、外れているブレーシングの接着、浮いたブリッジの接着、指板のひびの補修、弦高をもう少し上げたいのでナットの作り替えとサドル(フレットを打っている)の交換をお願いされました。

Fさんはこのボロいの(失礼、希少なヴィンテージもの)を東京の有名の中古専門店から入手したらしくて、このRADIOTONE以外にも同じようなラップスチールを他に3本程購入しようかと思案しているらしくて(殆ど病気状態やんっ!)何せ古い楽器なのでそれなりのリペアーが必要なものばかりでそれぞれの現物の写真をメールで頂いていて、このRADIOTONEを持って来てもらった時にリペアー代も含めて相談したりして、Fさん自身最近ラップスチールに嵌っていて演奏する人が少なくて希少な絶滅危惧種的存在のラップスチールを後世に残したい気持ちと余生はラップスチールを極めるんや(人間国宝でも目指すんすか!)という壮大な心意気を話されたり、”やっぱり難易度の高い修理する方がリペアー魂が燃えるやろ⁉”という一番痛い所をつかれまして(煽てるのがお上手なお方でございます!)

同じ楽器を愛するものとしてこのRADIOTONEも含めてもし、残りの3本を購入されてご依頼頂いたのであればいつもお世話になっているFさんと私との共同でのヴィンテージラップスチールギターの再生プロジェクト的な感じで、微力ながら採算度外視でやらせていただこうと心に決めたのでありました。(勝手にプロジェクトX状態で中島みゆきの地上の星が頭の中をリフレインするのでした!…)


前置きはこれくらいにしておいてRADIOTONEの状態を診ていきましょう…

届いた時からハードケースの中でゴロゴロと音がしていたのは外れたサウンドホール真下のブレーシングで、ローズウッドの指板が縦にひびが入っていてブリッジは浮いていたり(左右ねじ止めなので完全には剥がれていない)あとはナットを高くして弦高をも少し上げて、サドルを見るとフレットが使われています。

思っていたより致命的な状態ではないのが幸いでありました。

やり易いブレーシングの接着から始めるようと、いつも使っている突っ張り治具がボディの厚みが狭いので使えず…どうしようか?と無い頭を使ってあるものを(平板)をボディの厚みよりやや長くカットして水で湿らせてしならせて突っ張り棒のようにしてブレーシングを押さえつけて接着させました。

ブリッジの浮きは形状が三角形(サドル高さを出すため?)なのでブリッジ下部に板を当てて浮いている箇所を押さえつけるようにして接着しまして、指板のひびはタイトボンドをすり込んで指板サイドに当木して挟み込んで圧着してみました。(挟みむと多少ボンドがはみ出た箇所があったので少しは効果があるかな?!)

ナットはなるべく高く(できれば15ミリ位)したいとの事でしたがもっているのが10ミリで1ミリほど高くなる程度ですが雰囲気に合った一番汚い(訂正、色の濃い)牛骨ナットを選んで作り替えて、サドルに使っているフレットも替えて多少弦高が上がるようにしました。

外れてたブレーシング、ブリッジ、指板のひび、ナット作り替え、サドル(フレット)交換をしまいた。

ブリッジの止めていたマイナスネジ(左右で大きさが違っていた)はマイナスネジが無かったのでプラスのネジですが雰囲気に合うブラウンの色のに替えてプラスの切込みが✖になるようにと古い溝の無いブリッジピンの頭の横筋のラインを横になるように揃えたり(しょうもない拘り…)敢えてやってみました。

弦高は6弦12Fで5ミリちょいと最初から1ミリ位上がった感じです(もうちょっと上げても良いのでしょうが…)

一応こんな感じで"勝手にヴィンテージラップスチールギターの再生プロジェクト(第一弾)"が完了しました。(残りの3本どうなることやら!?)

それにしても流石に80年以上経過しているだけにトップのラッカー塗装がひび割れてマスクメロン状態の貫禄をだしております。


ハードケースに戻して(蓋を開けるとやっぱり親戚のおばあちゃんところの家の匂いみたいな懐かしいあの感じが!)ほんと雰囲気があるなーとしばし眺めておりました。

ハードケースも所々剥がれていたので勝手に補修と拭き掃除しておきました。

剥がれた箇所をボンドを塗って上からテープで押さえててたところボンドが乾き切らないタイミングで取りに来られたのでそのままお渡ししました。後でテープ剥がしてくださいね。(サービスなんでお許しを…、こういうの見るとなんか直したくなるんです…性癖みたいなもんです。笑)

スライドで弾くと(へたくそですが…)乾ききったボディからとても味わいのある泥臭いサウンドが心地よくてFさんのように上手く弾けたらかっこいいんでしょうけどわたしもなんか嵌ってしまうのが少しはわかるような感じがしてこのRADIOTONE好きになりました。

Fさん続きの何本か判りませんけどお持ちいただいたらまた頑張って採算度外視でやりますんで楽しみにしてますよ!


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