箕面市から来られたK様からマルハ612のメンテナンスのご依頼を頂きました。
某オークションで入手された(私もウォッチしておりました~結構なお値段になってましたね〜)マルハを持って来て頂けました。
マルハにしては奇麗な個体ですが、ネックの捻じれ(6弦側がやや逆反り、1弦側がやや順反り)ているのを治し欲しいとの事とブリッジ底面をボディに密着(面だし)させて弦溝を付けて欲しい、その他3連のペグが浮いていたりするので幾ら掛かってもいいので良い状態にして欲しいとの事でこのマルハをとても気に入っておられるKさんでございます。
ちょっとわかりにくいですが、ネックの反りを観ると1弦側がやや順反りで6弦側がやや順反りになっておりました。
ロッドなんてありませんので、ネックアイロンで捻じれが改善されるかやってみます。
アイロンを1弦側に少しだけずらして5F辺りを狙ってクランプしました。
翌日に鎖骨骨折の手術があるので痛みを堪えつつなんとか作業しまして、無事に手術は終えましたが傷口の痛みで流石に術後2日間はお休みしまして丸3日間、アイロンが上手い事効いているか確認しに来まして~さらにもう一回アイロンを当て直しました。
その後アイロン前に比べてネックの捻じれは少し改善されておりました。
作業から一旦はなれて~
612を持って来られた時にKさんが私の同じ612をとても気に入って頂いて試奏もしてもらってお互いにマルハ好きなので話に盛り上がって、Kさんが私の612を買いたいとのことでしたので私も612を持っておきたかったのですが、2本も同じ612を欲しがっておられるKさんだったらずっと大切に使って頂けそうなのでお譲りさせて頂くことにしました。
2本の612を比べてみるとKさんの612はネックが細くて(ナット幅も2ミリ程細かったり)、ネックヒールもスリムだったり、指板エンドの斜めにカットされた角度に違いがあったりしてそれにKさんの612は0F仕様だったり⁉~
当時の職人さんの感覚で作られていたのが判ったりでそんな話でマルハ好きなKさんと盛り上がったりしておりました。
2本ともここまで奇麗な612は中々ないというくらい素晴らしい状態なので嫁ぐのが心惜しくなってきたりしました~
機種違いの613(装飾がシンプルで通常のブリッジ)とも並べてみました~
作業に戻って~
割と奇麗なペグでしたが洗浄して組み直してギヤにグリスを塗ってペグにドリルを繋いでギヤにグリスが馴染むようにしました。
フレットはかなり錆がついておりましたがスチールウールで錆を落としてからピカールで磨き上げましたが、骨折の術後なので痛みを堪えつつの作業で何時もの倍くらいかかりました(-_-;)
ボディを磨いていると淵の装飾が一部剥がれそうになったりで部分的に淵にクリアーを吹いて装飾を保護したり、ブリッジの底面がボディに密着するようにボディにのせたサンドペーパーで研磨し、弦溝を決めてからオクターブを合わせてブリッジの位置を決めてブリッジ底に動かない等に両面テープで固定させました。
仕上がった612は私の612同様にとても良い状態に仕上がってくれました。
雨の中箕面から、Kさんが2本の612を取りに来てくれまして軽く試奏してもらって出来栄えに納得していていただき、お気に入りだった612が嫁いで行きました~
後日、早速Kさんから感謝のメールを頂きまして、家に帰ってからダブルマルハと戯れながらじっくりと違いを観察したところヘッド角度の違いとネックの仕込み角度(私は気づきませんでした)にも違いがあるのに気づいたとこ事でますますマルハギター沼にハマっておられるKさんでございます〜
嫁いだ612のお代で手術の治療費が賄えそうなので、612が私の事を助けてくれたんやな~と思ったりで~良いオーナーさんの所へ旅立って良かったなと思えてきました。
またそのうちに612は好きなので入手したいなと思ったりする次第です~
この度のマルハギターメンテナンスとお買い上げ誠に有難うございました。
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