西区のMさんからギブソンレスポール80のメンテナンスのご依頼を頂きました。
Mさんは以前にもヘッドウェイのアコギもご依頼頂いておりました。
Sさんの会社の後輩さんの”こばやん”さんから頂いた⁉という81年製の希少なレスポール80ですが、譲り受けてから殆ど弾いてなくて奇麗にしてきてくれておりまして弾けるようにメンテナンスして欲しいとの事でした。
その場でピックアップからの音出しとボリューム、トーン、トグルスイッチの効きを確認しまして電気系統は問題ありませんでした。
外観的には年式相応の傷やネック裏には貫禄のラッカークラックがびっしりと入っています。
フレットがかなり減っておりまして、以前に雑にすり合わせされたような感じでフレット全体が削れておりましたのでこれは何とかフレットを丸めて弾きやすい状態にします。
その間に電気系統の掃除をしようとバックパネルを外すと何やら金属のカバーに覆われていてこのカバーを外すとコントロール部が現れまして接点の掃除をしまして、弁当箱みたいなカバーも結構埃やら曇ってもいたのでテイルピースとブリッジと一緒に洗浄して磨いたり、ピックアップカバーも磨きました(それ程ピカピカにはなりませんでしたが…)
トグルスイッチの中も金属の筒に覆われていたり(ノイズ対策⁈)本物のギブソンって丁寧な作りなんやねんなーと感心したりしました。
それにしてもこのレスポールずっしりと重くて、最近のレスポールってボディの中が少しくり抜かれていたり(チャンバード加工)して多少軽量化されているみたいですが、こちらはとても中身が詰まっている感じがします。
年代物のごっついグローバーペグの動きが少し重かったのでばらせる範囲でギアのシャフトを抜いて奇麗にしてからグリスを塗って組むと少し動きがスムーズになりました。
元々ギブソンってフレットの頭が平らになってたりしますが、擦り減ったフレットの頂点を残してサイドを専用のやすりで削って断面を山形に近づけるようにやってみました。
弦を張ってフレットのビビりもないのでOKとしましょう(これ以上減ったら次はフレット交換ですね~)
最後にボディーエンドのストラップピンが無かったので付けて磨き上げました。
弦を張って各部のセットアップ・調整をして復活したレスポール80を鳴らしてみるとずっしりと重いボディーに弦の振動が伝わっていて、太くて重厚なサウンドが蘇りました。
レスポール80って80~81年にギブソンが最初にビンテージレスポールの復刻版を再現したシリーズで、今でいうヒスコレの第一弾みたいらしくて当時としては気合の入ったモデルの様で、今は高値になっているようですがオーナーのSさんにこのレスポールを頂いた経緯を聞いたところ、このレスポールはくれた”こばやん”さんのお兄さんの形見の品らしくて沢山のギターを持っておられる”こばやん”さんの奥さんからギターを処分せい!とのことで会社の先輩であるSさんに譲ったそうですが、その際にお兄さんの形見のギターで気が重いかもやけど使って欲しいとのことで譲ってもらったそうです。
Sさんはアコギは弾くけどエレキは初めてで最初からいきなり本物のギブソンって羨ましいかぎりですが、またエレキを一から練習しないと~と言っておられましたが”こばやん”さんはとても上手い方らしいので色々と教えて貰って下さいませ~
それとこのレスポールは”こばやん”さんの兄さんが所有されてた時に、盗まれたらしくてなんとまた戻ってきた⁉と聞いていたのでその話の続きを聞くと、なんと盗んだ犯人はお兄さんが住んでたアパートの隣の住人だったらしくてそれで捕まって無事にお兄さんの元へと戻ってきたという凄い波乱万丈なレスポールでタイトルに書いていた”タケトラ”はこのレスポールに付けていた名前(由来は薄ら出たトラ杢、タケは不明...)らしくて相当可愛がっていたのが伺える凄いお話でございました~!(盗んだ犯人もこのレスポールを売ったりせずに大事に仕舞っていたのでしょうね~⁉、よほど欲しかったのか⁈)
そんなこんなで無事に生き延びた希少なレスポールが私の所に来てくれたのも何かのご縁なのかなーと感慨深い思いに馳せながら、新しいオーナー様へと旅立ったNEW”タケトラ”君を末永く可愛がって下さいませ。
この度は希少なレスポール80をメンテナンスさせて頂いてありがとうございました。
またのご依頼お待ちしております<(_ _)>
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