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NO.266 マーティン 000-28 

御贔屓頂いております高校の先輩のSさんからメールで会社の同僚の方が伺うからとの事で、なんと1956年製のマーティン000-28の弦高調整のご依頼を頂きました。

最初見た時えらい古い感じのトリプルオーやなーと思ってサウンドホールの中のラベルが無いのでオーナーさんに聞くとなんと1956年製のトリプルオーを入手したとの事で弦高を少し下げて欲しいとのご依頼でした。

取り敢えず現状の弦高を測るとそれでも低めの6弦12Fで約2.2ミリ、1弦で2ミリと充分に良い感じでしたがハイフレットでも更に弾きやすくしたいとの事で現状より0.2ミリ下げてみます。

ロングサドルの高さにかなり余裕がありましてサドルの溝にジャストフィットしています。

他にもネックの反り等も問題ないレベルでちょっとだけロッドを緩めようかなと思って、よく考えるとトラスロッドなんて付いてませんから~。

ボディーの状態もとても良くてピックガード側の上部に少しクラックがある位(それもきちんと補修されていて)トップは一度リフィニッシュされている感じでラッカー塗装のクラックもなくてバックのラッカーが少し劣化している位で、フレットも奇麗でリフレットされているようで65年経ったヴィンテージギターとしては凄く状態が良いのでキチンとメンテナンスして大事にされてきた個体なのだろうなぁと感心してしまいました。

あとネックの感じも私の好きなVネックでとっても握り易くって、持った時の感じが凄く軽くて経年で材が枯れてトラスロッドもないのでヴィンテージってこういう感じなんかーと思ったりしました。

オーナーさんのご依頼で明日使うからと今日中にお願いされまして、丁度お昼過ぎなので食事を採って頂いている間に大急ぎ(実質30分位)で弦高調整いたしました。

調整後、約0.2ミリ下げて6弦12Fで2ミリ、1弦1.8ミリと弾きやすいようにセッティングしました。

調整後に調弦して鳴りを確認すると何だか4弦辺りでペグ周辺で共振しているような感じがして診ますとペグ全体の木ねじが少し緩んでいてしっかりと増し締めするとその共振もなくなりほっとしました。(クルーソンペグアルアルですね、この年代物のクルーソンも多分オリジナルだと思うのでこれだけでも値打ちものなんやろーな~と見ているだけでなんかうっとりしてしまいます)

肝心の鳴りの方は正直そんなに無茶苦茶鳴っているとかではなくて響きが深いというかなんというか心地良い響きって言うんでしょうか~、唯一無二の鳴りを体感出来ました。

オーナーさんも持っておられるFG-150の方が鳴りは大きいって言っておられましたけどなんて言うんでしょうか鳴りの質と深みが違うんでしょうね~。

後でオーナーさんに聞いてネックブロックに書いてるロットナンバーを確認すると150000番台で調べるとやっぱり1956年製であることが確認出来ました。

という事はこの年代っていうと…、サイドバックは当然ハカランダであろうと私の思っていたハカランダの派手な板目の感じではなくて柾目のハカランダってこれまた超希少でサウンドホールから香を嗅ぐとほんのり甘ーいような独特の香りを感じることが出来ました。

オーナーさんはこの000-28を買うためにこれも高級なコリングスを売って東京まで行って購入されたようで価格も000だけに3桁超えと私にはとても買う事が出来ないホンマもんのヴィンテージギターですが短時間でしたのでじっくり検証できませんでしたけど、希少なマーティン000-28をメンテナンスさせて頂きましてありがとうございました。


こう言ったヴィンテージギターってコレクターの方が保有している場合が多いようで、この000-28も今までキチンとメンテナンスされていたようで状態の良さを感じましたが、希少なギターを持ってことは、言わば現在においてその個体を管理させてもらっているということで一生を掛けて大切にして次の世代へと受け継ぐ事をさせて頂いていることなので気も使いますし管理も大変だと思いますが一生ものの希少なこの000-28をこれからも大切に可愛がってくださいませ。



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