前回に続いてラップスチールギターの再生4本目です。
最後の4本目はブランドが不明なデッカイワイゼンボーンっていうのでしょうか、購入されたFさんもケースを開けてみてその大きさに驚いたようでスーパートーンと並べてみましたが、サイズ的にはドレットノート位なのですがショルダー部分からボディーがネック側7F辺りまでつながっているので余計に大きく感じるというか形が魚のマンボウのような面白い形でブランドが分からないのでデカワイゼンって呼んでましたけど、このデカワイゼンをみるとボディーが裏表ともに縦に派手に割れていまして何とかして欲しいということでやってみることになりました。
割れたボディーを内側から見ても隙間から光が見えます。
バック板に下駄のような蒲鉾板を大きくしたような補強の境目に沿って縦に割れています。
その割れ目にタイトボンドを流し込み、クランプで押さえ込んで裏表別々にやりまして1度の接着で隙間が広かった箇所を再度同じ作業を繰り返して何とか割れ目が引っ付きましたので裏側から割れに沿ってマホガニーの板を当てて補強しました。(これだけで裏表で4日間掛かけてやっと接着できました)
割れ目の段差をペーパーで均して平らにして割れに沿ってクリアー塗装を5、6回程度吹き付けて段差がない程度に磨きあげますとその部分だけ艶がテカテカになったのでボディー全体を手とポリッシャーでテカテカになるまで磨き上げて、傷の跡は残っていますが何とか割れの補修が出来ました。
ドレットノートと並べてみてもやっぱりこのデカワイゼンの方か少し大きいのが分かって頂けますでしょうか?
出来上がった3本(先に出来上がったマッキンリーをお渡しした後、入れ替えでRADIOTONEナットを交換してから撮ったので入れ替わっています)記念に並べてみました。
サービスでデカワイゼンが入っていたハードケースの割れも直してみました。
普通のハードケースって外張りの皮がよくめくれているのを時々サービスで補修(木工ボンドでめくれないように養生テープで一晩固定すると大抵なおる)したりしますが、このような樹脂製のケースを直すのは初めてで樹脂製なのでそれ用の強力なセメダインスーパーXで接着して良い感じに引っ付いていたのですが外で乾かしていると天気が良くて、直射日光の熱で接着面がパックリと開いてしまいまして、再度接着しまして最後は苦肉の策でこれも強力なゴリラテープで割れが開かないように補強しておきました。(見栄えが悪いですけどゴリラテープって水に濡れても大丈夫な強力な接着性でしっかり引っ付いたようです。)
よくよく考えたらハードケースがこのように派手に割れるくらいだからどんな落とし方をしたのか分かりませんが、かなりの衝撃でこのデカワイゼンが割れてしまったのではないかと推測出来ます。
Fさんのお話ではこの4本の元の持ち主さんが大切に使っておられたもので、たぶん亡くなられて長い間割れたまんまでほっとかれて処分に困った家族さんが売りに出された放出品ではないかという事でした。
全てのハードケースの外側にラミネーターで名前が書いてあって中身が何であったかわかるようにしてあって元のオーナーさんはこれ以外に沢山のギターをコレクションしていたのであろうと推測したり、名の知れたラップスチールギターの奏者であったのではないかと仰っておられてそんな希少な戦前のラップスチールギターを今回再生出来ましたことを感謝すると共に新しいオーナーのFさんにこれからも使い続けてもらって後世に残したい大切な楽器に携われてとても良い経験をさせて頂きました。
Fさんにはいつも厄介な…失礼、難易度の高いご依頼を頂いてとても毎回、良い教材を与えて頂いておりまして勉強させてもらってます。
また、厄介な…じゃなくて良い教材を持って来てもらえるか楽しみにしていますので、コロナでライブが出来ないとぼやいておられましたが、ラップスチールを極めて頂いてライブで活躍する日を楽しみにしております。
またのご利用お待ちしております。
皆さまにお知らせがありまして、この4月25日をもちまして、おかげさまで2周年になりました。
つきましては、オープン以来消費税を頂かずに頑張って参りましたが、世間並みに消費税プラスで販売させて頂きますので、今後ともに宜しくお願い致します。
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