200回目の紹介は珍しいヤマキのYW-30Wでございます。
六アイよりお越しのS様よりフレットのバリの修正のご依頼を頂きました。
ヤマキによくあるお約束のフレットのバリが気になるということで、なるほど触ってみると確かに引っ掛かって今どきの安ものの海外製でもも少しマシなフレットの処理してると思いますが、珍しいヤマキのトップ材以外全てメイプルのこのYW-30Wをみると!…
ブリッジ辺りを見ると以前のリペアーで弦高を下げる為にブリッジを弦の通る方向に削ってサドルはブリッジの上面の高さまで削られて無残な姿になっておりました。
丁度来店されていたギター通のAさんも現物確認してお互いに目が合って、オーナーさんの居てる前でちょっと言いずらい感じではあったのですがお互いに「これは!ひどいなっ!」っていうか率直にギターをメンテナンスする者として、こんな修理するんや!って思って確かにこのやり方で弦高は下がったかもしれませんが、ある意味私には思いつかないやり方だったのでちょっとショッキングでした。
何処とはいいませんが(言いたいけど言えません!…、神戸では老舗のギターする人やったら誰でも知っているショップさんでやってもらったとオーナーさんが言っておられたのもショックで…)私とか同席していたギター通のAさんのギターにこれをされたらたぶんブチ切れると思います。
最低私だったら元に戻してくれ(戻りませんけど!…)とか同等ギターと交換してくれくらい言うかもしれませんけど、とてもお優しいSさんは素直に修理代金を支払ったそうです(後で聞くとこの処置をするにあたって持って行った時ではなくて後日電話でブリッジを削って弦高をさげるみたいな説明をされて、こんな姿になっていて…)と聞いている私も何とも言えない気持ちになりました…。
これも言いたくはないのですが、うちの常連さんから聞いたのが同じ所で知り合いの方がリペアーに出したら勝手に弦高を下げられたとか聞いてましたので、それどころやないのを目の当たりにしたので、もうこれ以上は言いたくないので気分を変えてこの可哀そうなヤマキを何とかしたいという気持ちが湧いてきました!
とういことで元々のご依頼のフレットのバリ取りとプラスして無残になったブリッジをなんとかしてみます。
専用の45度位に角度のついたやすりをネックに沿わせて軽くやすって出っ張ったフレットの端を整えて、すり合わせの際に使うフレットファイルやすりでフレット末端の面取りをして百均のダイヤモンド粒子の付いたスポンジを使ったりしてフレットの端を丸めて仕上げました。
トラスロッドを触ると弦高を下げる為に締め切っていたのでロッドを緩めてネックアイロンを当てて多少のネックの仕込み角度を稼いで削られたサドルの高さを復元出来るように試みてみました。
縦に削られたブリッジの溝にタイトボンドに削った木くずを混ぜて溝を埋めます(サドル溝とブリッジピン穴にボンドが入らないようにテープで養生しておきます)
翌日、ブリッジのトップ面を少し削って表面を整えて元付いていたサドルを取付けて高さを調整してブリッジ本来のあるべき姿に戻しました。
弦を張るとブリッジの傷ついた縦の筋も殆ど弦に隠れて見えなくなったのが幸いでした。
この状態で弦を張ってネックアイロンによってトラスロッドに締め代が出来て弦高が6弦12Fで約2.3ミリ、1弦で2ミリと良い感じに調整出来ました。
リペアー実施前から良い音がしていましたので(弦高下げ過ぎでビビりは出てました)私の所にやって来たこのヤマキを何とかしてやりたいという気持ちで本来の姿に戻せてあげれて良かったです。
弾くとサイドバックメイプルの明るい軽やかな鳴りでストロークで弾くと良く鳴って元気で明るいヤマキが復活しました。
オーナーさんに連絡してその日のうちに直ぐに取りに来て頂いて弾きやすくなって見た目も殆どわからない位になったのでとっても喜んで頂けました。
今回のリペアーは私自身、曲がりなりにもリペアーに携わる者として考えさせられるものがありました。
新参者の私が言うのもなんですが、お客さんの意図していないような修理をしないように十分に話し合いをしてご予算の範囲内で出来るだけの事はして依頼主さんの気持ちになって喜んで頂けるようにやってまいりたいと改めて思ったヤマキとの出会いでありました。
Sさん当方にご依頼頂きましてありがとうございました。
復活したヤマキYW-30W、また可愛がってくださいませ。
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