今回のご依頼もストラトで御座います。
エリック・クラプトンフリークのK様より、ECシグネチャーストラトのメンテナンスのご依頼を頂きました。
1988年にフェンダーUSAから発売された当時のエリッククラプトンモデルストラト・通称ブラッキーでございます。
フェンダーが1984年にCBS傘下を離れて、フェンダー・ミュージカル・インスツルメンツ社が設立されて、この時期のフェンダーは最も業績的に苦しんでいてそれを打開するために同社がクラプトンにコンタクトをとったことからこのモデル開発が始まったようです。
元祖、ブラッキーは50年代と60年代のストラト数本からくみ上げられたようで、長年のハードなツアーにより傷みが激しくなっていて、この時期にブラッキーに代わるモデルの開発が始まったようです。
その後、元祖ブラッキーは2004年クラプトンが設立したドラッグとアルコールのリハビリ施設(クロスロードセンター)を支援するために競売に掛けられ、95万9500ドル(日本円約1億円!)の世界最高額のギターになりました。
このブラッキーはKさんが学生時代から使っているもので、ここ最近は余り使われることも無く状態が悪い(ノイズが出る)等の事で以前にハミングバードのピックアップ取付け依頼を頂いた時からこのブラッキーの事を聞いておりまして、この度メンテナンスのご依頼を頂きました。
ノイズの原因と思われるボディアースのはんだが外れていおりましたので半田をやり直しまして各電装パーツの接点を接点復活剤を塗布して掃除しました。
通常のストラトと違ってブースター回路が搭載されており、何だか複雑な感じになっております。(レースセンサーP.Uとミッドブースターにより普通のストラトよりかなりパワフルなサウンドを生み出しております)
金属パーツも曇りが目立っておりましたので全て磨き上げ・洗浄をおこない輝きを戻しました。
フレットも頂点の擦り減りで台形のような断面になっていましたので、フレット頂点を残しつつ断面を丸めるようにしました(以前はフレット頂点にマジックで線を引いてマジックが消えないように研磨しておりましたが、どうしても消えてしまうのでフレット頂点に布テープをフレット左右に振り分けて貼って頂点が削れないようなやり方でやってみました。
(判りにくいですが、平らだったフレットの断面が頂点を残しつつ少しは丸くすることができました)
その後やや高かったを弦高の調整・オクターブ調整を行ない、当初あったノイズも無くなっていることを確認して仕上げに全体を磨いて作業完了しました。
仕上がったブラッキーをK様にお渡しし、ノイズが無くなったことと奇麗になったことを喜んで頂きました。
弦高も少し下げて以前よりも弾きやすくなったとのことで安心致しました。
コロナの影響で中々演奏する機会が減ってしまったようですが、以前にKさんのアコギでクラプトンに成りきっておられる上手な演奏に聴き惚れておりましたので、このブラッキーでもまた素晴らしい演奏を聴かせていただける事を楽しみにしておきます。
この度は大変希少なブラッキーと出会えてオーナー様に感謝致します。
またのご依頼をお待ちしております。
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