メールにてH様よりオベーションクラシックのトップ板割れ補修のご依頼を頂きました。
ボディのカッタウェイ側からボディエンド側まで縦に亀裂が入っています。
自然とこうなったのですか?とお聞きしますとお孫さんが倒して…という事で、派手に倒したらこのようになってしまうのかと納得してしまいましたが何とかしないとなぁという事で、頑張ってみます。
縦の割れが重なって少し盛り上がったようになって段差があります。
正直ここまでの割れの補修の経験が無いのでどこまで直せるか不安がありますが、出来る限りの事はやってみようと前向きにやってみます。
先ずは、割れに沿ってタイトボンドを流し込んで接着しつつ、盛り上がった傷を押さえつつ一晩この状態で傷を補修してみます。(ボディバックがラウンド形状なので、クランプで挟みにくくて何回も挟み直してとても作業しにくいのを実感しました)
一晩経って固まったので表面をベビーサンダーで整えて傷の段差が無いようにしました。
ボディの裏側からも割れの箇所に補強板を当てて強度を保つようにします。
縦割れに交わるブレーシング(3箇所)全てが浮いていたので接着して元の状態に近づけます。(通常のアコギの場合、ボディ内部から小さなジャッキで突っ張ってブレーシングを接着するのですが、ボディ内部がラウンド形状なのでそれが出来ないので、クランプの先に角材を当てて延長させて届かない下部のブレーシングを挟んで接着しました。
その後、傷の表面にクリアー塗装を5回ほど塗っては研磨を繰り返して表面に段差がなくなるまで磨き上げました。
傷の跡は見えますが割れによる強度の復元と傷の補修を完了しました。
今回、オベーションのボディ構造を考えるにこのような割れ方になるのは、強度の強いバックボディに対してトップ板は普通の木であるので強度のバランス故にこのような割れ方になったのかと思ったりします。(クラシックギターの縦に走るブレーシングに沿って割れていたのでその構造によるものがあったのではないかと想像します。アコギのXブレイシングであったらまた違った割れ方であったかもしれませんね…)
オーナー様にお渡しして、見た目はイマイチですがギターの鳴りと強度の復元は出来ているので良くなったと納得して頂けたので安心致しました。
このオベーションクラシックと一緒にギブソンES-335のフレットすり合わせのメンテナンスのご依頼を頂いておりましたので、次回に紹介します。
この度のご依頼ありがとうございました。
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